トラブルにならない『新築』『建替え』『リフォーム』のポイントとは?
家づくりは人生の一大イベントです。新築、建替え、リフォームのどれを選んでも、不安や疑問ばかりの家づくりで後悔したくないですよね。
信頼できる建築会社に任せることができれば、「家ができるのが楽しみ」という穏やかな気持ちで完成を待つことができます。
しかし、建築業界は「クレーム産業」といわれることが多く、建築会社とのトラブルが起きることは珍しくありません。
そこで、トラブルがどうして起こるのか…、その背景についても目を向けておくことは、家づくりで失敗しないためにも重要です。
そこで、一般的な家づくりの流れから、トラブルが起きやすいポイントや知っておきたい知識などをいくつかご紹介していきます。
目次
1. 一般的な家づくりの流れ
まずは、一般的な家づくりの流れを大まかにおさらいしてみましょう。
(1)プランニング
駐車場の位置や間取り、日当たりなど、こだわりや理想をじっくり聞いて整理します。
後悔のないように納得いくまで話し合うことが大事です。
(2)事前審査
プランニングから分かった予算をもとに、住宅ローンの事前審査をしておきます。
返済は長期にわたります。お子様の教育費や生活費など、長期的な目線で余裕を持った資金プランを立てましょう。
(3)本契約
間取りと予算が決定したらいよいよ本契約。改めて銀行などで本審査を行います。
土地を新たに購入する場合は、土地の売買契約も済ませます。
(4)決済(土地を購入する場合)
決済は、契約者(買主)、売主、司法書士(仲介業者がいる場合は仲介業者も)が立ち合って行われます。
決済が済んだら、司法書士が土地の登記を行います。
(5)地鎮祭
工事の無事と安泰な暮らしを土地の神様にお祈りします。
地鎮祭は、必須ではないものの、「家づくりの思い出作り」という考え方も。
「神饌品(しんせんひん)と呼ばれる供え物や、2~3万円程度の玉串料が必要です。
詳細については事前に工務店に確認しましょう。
(6)着工
地盤改良と基礎工事が始まります。家づくりでとても大切な部分です。
(7)上棟式
基礎工事の完了後、主要な柱や棟木などが組みあがったら上棟式。地鎮祭同様、必須ではありません。
(8)内装工事~外装工事~引渡し
内装工事や外装工事など、すべての工事が終われば完了検査を経て引渡しです。
設備機器の説明や各種書類の受け渡し、ドアの開閉状態、壁へのキズの有無など、業者立ち合いのもとで確認します。
2. トラブルが起きるポイント
打ち合わせや見積もり時、契約後、アフターサービスまですべてのタイミングでトラブルが起きる可能性があります。
ひとつずつ、見ていきましょう。
(1)仕様打ち合わせ
理想の家づくりのためには、打ち合わせを重ねていきます。
仕様の詳細をある程度絞らなければ、より精度の高い見積書が提出できないからです。
しかし、この打ち合わせでトラブルが起こることがあります。
細かいポイントまで打ち合わせをすることで、より理想に近い提案が生まれます。
しかし、そもそも家の新築やリフォームは、人生のうちで頻繁にあるわけではなく、「要望が上手く伝えられなかった」というお客様も多いでしょう。
そのため、後から「打ち合わせと違うのでは?」という不満に結びつきやすいのです。
頭のなかで描かれる理想像を言葉でどう伝えたらいいかという不安もあるかと思います。
施工事例やサンプル、パソコンのイメージ画像など、お客様の理想を引き出してくれる建築会社なら、トラブルが起きづらいでしょう。
(2)見積提出
新築・建替え、リフォームのどれを選ぶにしても、まず気になるのは費用のことかもしれません。
こだわりや理想を徹底的に叶えたいという思いの反面、「できるだけコストをおさえたい」という思いもあるのではないでしょうか。
そのため、見積書では特に合計金額に注目するかもしれません。
金額はもちろん重要ですが、「どうしてその金額になるのか」など、気になる点はきちんと説明してもらうことが大事です。
① 値引く会社は要注意
ハウスメーカーや工務店に見積依頼するとき、ある程度の予算決めをしている方も多いかと思います。
予算内の見積金額でも、少しでも安くおさえたい心理から、見積書の金額よりもさらに大きな値引きをしてくれる会社は魅力的にうつるかもしれません。
しかし、見積時の値引きには注意しましょう。「とにかく契約を取りたい」と大幅値引きをしているケースも考えられます。
広告宣伝費が含まれているハウスメーカーの場合、建築費用と直接関係ない部分で値引きをしやすい裏事情もあります。
また、もともと高い見積金額にしておき、あたかも「たくさん値引きした」というように見せかけるケースもあるでしょう。
そもそも、無理な値引きは、工事の品質を落とすことにもつながります。むやみに値引く会社には要注意です。
② 駐車料金の負担
工事中は、関係車両の出入りが増えます。
そこで、あらかじめ近隣に駐車場を確保しなければならないことも多いでしょう。
ただ、駐車料金について曖昧なままでは、後からトラブルの原因になることも考えられます。
通常、見積もりの下見に行った時点で「工事車両の駐車スペースを確保しなければならない」という周辺状況が分かります。
事前に認識できる問題ですから、諸経費などの名目で見積書に何らかの記載がされている、もしくは事前に説明があるのが一般的です。
しかし、あとから追加工事として駐車料金を請求されトラブルとなるケースも。
見積書にも記載がなく、説明もない場合には、遠慮せずに聞きましょう。
(3)ご契約後
契約が済むと「あとは家が完成するのを待つだけ」と、どこかホッとした気持ちになるかもしれません。
でも、実は契約後にも、トラブルにつながりやすいポイントがあります。
大切な家を作ってもらうのですから、お客様にとっては「信頼できる人に任せたい」という思いも強いですよね。
しかし、契約前と契約後で営業マンの態度が豹変して、お客様を不安な気持ちにさせるケースも。特に、歩合制の会社に多く見られます。
契約前には「何とかして契約を取りたい」という気持ちから、営業マンはとにかく親切で誠実な態度です。
しかし、契約が終われば、営業マンにとっては「契約前のお客様候補」ではなく、「契約が済んだお客様」。
すでに契約を取った安心感から、対応を後回しにされ、電話をしても折り返してくれないケースもあります。
歩合制の営業マンは、ノルマ達成のためにほかのお客様候補に夢中になってしまうからです。
また、契約後には、最初に対応していた営業マンから、別の現場担当者にバトンタッチし、話が通じなくなるという問題点も考えられます。
こうしたトラブルを避けるために、最初から最後まで同じ担当者がついてくれる工務店や建築会社が安心です。
(4)着工
着工中は、ご近所からの苦情が起きる場合があります。
新築・リフォームともに、工事の始まりから終わりまでには、さまざまな工程があります。
大きな音やホコリなどでご近所トラブルに発展するかもしれません。
- 家の前に工事車両を駐車されて困る
- 朝早くから大きな音が鳴ってうるさい
など、駐車や騒音に関するトラブルが多いため、特に注意が必要です。
ご近所さんからすると、急に工事が始まって迷惑駐車などがあれば、気分を害してしまうのは当然かもしれません。
そこで、事前に工事について記載した文書を持ちながら、ハウスメーカーや工務店側でご近所挨拶してくれることが一般的です。
施主様にとっては、工事が完了してもご近所との関係が続きます。
工事中のトラブルが尾を引いて、後々関係性が悪くなっては、住み心地にも影響するでしょう。
そうならないためには、事前にしっかりと挨拶をしてもらえると安心です。
ただ、ハウスメーカーや工務店によってはご近所挨拶についての考え方が違います。
「ご近所挨拶は行ってくれるのか」「施主側でも同行した方がいいのか」「粗品はどうするのか」などを確認しておきましょう。
(5)アフターメンテナンス
新築、リフォームのどちらも、住まいの寿命を延ばすためのカギが「メンテナンス」です。
新しくなったばかりの頃は、「特に悪いところもない」と点検に消極的になるかもしれませんが、点検を定期的に受けることは今後の快適性にもつながる大事なことです。
ただ、工事後のアフターメンテナンスの対応については、各社で異なる点も多くトラブルに結び付きやすいポイントといえるでしょう。
新築の場合、だいたい3~6カ月、1年というスパンで定期点検がセットになっていることが多いようです。
リフォームの場合も、定期点検をするというケースもあります。
ただ、定期点検の頻度や方法は、建築会社によって違います。点検の頻度や連絡の有無を、契約時に確認しておくと安心です。
3. アフターサービスでの嫌な思いベスト3
工事中は、工事内容の打ち合わせが多く、アフターサービスの細かな内容については確認しないケースも多いかもしれません。
しかし、アフターサービスについて、建築会社側との意思疎通が不十分で、嫌な思いをすることがあります。
そこで、「遭遇しがちなアフターサービスに関する嫌な体験」の代表的なものを3つご紹介していきます。
(1)点検が有料
「無料だと思った点検が有料だった」ということで嫌な思いをされる方もいます。
“サービス”なので無料のような印象を受けますが、点検の費用については、施工後○年後までは無料、それを過ぎると有料などのように、一定期間を過ぎると有料になるケースもありますので、念のため確認しましょう。
(2)その場で修理できることも有料になってしまう
点検中に何らかの不具合が見つかったとき、部品などの不具合なら取り寄せてから後日修理となることが一般的です。
しかし、「その場ですぐに対応できる軽度なものなのに有料と言われてびっくりした」というオーナー様もいます。
施工後すぐに見つかった瑕疵は無料となるケースも多いですが、数年後に経年劣化で起こったものや、天災などが原因の不具合は有料です。
しかし、なかには本来無料となる箇所、保証期間内にも関わらず、「点検は無料でも修理は有料」と言われトラブルとなるケースもあります。
4. 良心的な工務店・建築会社とは?
トラブルが起きるポイントをいくつかお伝えしました。
ポイントを知っておけば、ある程度の注意ができるものの、施工会社側の態度によってはせっかくの家づくりが不満となってしまいます。
後悔したくないからこそ、知っておきたいのは良心的な工務店・建築界会社を見分ける方法です。
良心的な会社の特徴を5つご紹介します。
(1)一人の担当者が最初から最後までお客様と寄り添う
良心的な工務店には、担当者がはじめから最後まで1人という特徴があります。
担当者がずっと寄り添ってくれるので、打ち合わせで話した細かな要望を設計者や現場の職人さんなどにしっかりと伝えることができます。
しかし、担当者がころころと変わってしまう場合は、きちんと引き継ぎができないケースもあるでしょう。
建築会社のなかには、利益と仕事の効率を優先するあまり、担当者を分散させるケースもあります。
その結果、「話したことが伝わっていない」「それは聞いていない」というように、不快な気持ちにさせられたり、トラブルに結び付いたりしてしまうのです。
(2)対象地域の範囲を限定している
対象地域を広げ過ぎず、限定した範囲にしている工務店や建築会社は良心的です。
エリアを狭めることで、土地の特性や事情を理解したうえでの施工が可能になるからです。
たとえば、足立区は狭小な土地や高低差のある土地が多い土地柄です。
法令上の制限をクリアしながら工夫した家づくりをしなければなりません。
限定した範囲内で建築を続けている工務店なら、一見デメリットと感じそうな土地でも、メリットを活かしながらの提案が生まれ、素敵な家づくりが可能になるでしょう。
しかし、対象地域を広範囲にしている場合、顧客数も増え、必然的に1人のお客様に対して費やす時間が減ることになります。
何か依頼ごとがあっても、対応が遅くなってしまう可能性もあるでしょう。
(3)家のことで困ったら無料で相談に乗ってくれる
新築したばかりという場合、今後はリフォームでメンテナンスをしながら家を守っていくことになるでしょう。
一方、リフォームを続けていく過程で「そろそろ新築したい」というお客様もいます。
何でも無料で相談に乗ってくれる工務店や建築会社なら、新築・リフォーム問わず、家のことで困ったことがあれば相談できます。
自分では気づかなかったプロの目線でアドバイスもらえるのも安心ポイントです。
「新築だけ」「リフォームだけ」と、どちらかに限定されている会社もあります。
「新築だけ可能」という会社の場合は、アフターメンテナンスが受けられません。
施工会社とは別にメンテナンスを依頼する会社を探さなくてはならないのは、お客様の負担となるでしょう。
また、「リフォームだけ」の会社は、自社で建てた家でないため、基礎や構造の深くまで理解していない問題のあるリフォーム工事をされるリスクも考えられます。
そしてリフォーム会社のなかには、「建築許可がいらない簡単なリフォームしかできない」というように、技術的な問題を持つ会社もあります。
新築、建替え、リフォームのどれでも、「すべて自社で対応が可能」という工務店や建築会社は、今後の安心にもつながるでしょう。
(4)社員の離職がない
社員の離職が少ないのも、良心的な工務店や建築会社の特徴のひとつです。
離職率が高い場合、現場のスタッフが育ちにくく、伝達事項の不備や、作業がスムーズに進まないなど、トラブルの原因になる可能性があります。
そもそも、社員の離職率が高い原因は、「長時間労働で体がきつい」「給料に不満がある」などが多いです。
離職が多い会社は、心身ともに何らかの不満を持ちながら働いている社員もいるため、責任感や集中力に欠け、施工品質にも影響するデメリットがあります。
離職が少ない会社は、社員の仕事に対するモチベーションが違います。
仕事に対して責任感を持っているのはもちろんのこと、長い経験から得た家づくりやリフォームの知識も豊富なため、満足度の高い家づくりが可能です。
(5)会社の歴史がある
歴史の長い会社は、良心的なケースが多いとされます。
家づくりは、土地の形状、間取り、内装の色、デザインなど、一軒一軒がオンリーワン。
会社の歴史が長いほどに手がけた実績も豊富で、ノウハウも持ち合わせています。
歴史の短い会社では思いつかないようなアイデアもたくさん。提案力と技術力で、お客様の満足度を叶えてくれる可能性が大きいでしょう。
まとめ
建築業界にはトラブルはつきもので「クレーム産業」という代名詞まであります。
新築やリフォームは、新しい生活への第一歩なのに、クレームを言いたくなるような嫌な気持ちを抱えるのは悲しいことですよね。
家づくりで後悔をしないためには、良い工務店や建築会社に依頼することが大事です。
また、家づくりのスタート地点となる相談から、完成後のアフターサービスまで、ずっとお付き合いのできる会社を選ぶことで住み心地も良くなり安心して住むことができます。
会社の歴史の長さやアフターサービス、地域にどれくらい密着しているかなど、さまざまな観点から良い工務店をチェックしましょう。
- 【最終更新日】2023年09月15日 16:19:06
- 【投稿日】2023年09月15日 16:19:05