16.ご相談の結果、建て替えを選ばれた加藤様
加藤様は80歳代。ご夫婦お二人で、40年前に建てた家にお住まいです。
「脱衣所をつくりたいんで、ちょっと来てくれないかなあ」加藤様のお宅のお風呂には、もともと脱衣所がありませんでした。ですから、お風呂に入るときは、台所で着ているものを脱がなくてはなりません。
「よく遊びにきていた孫が、高校生になってからは泊っていかなくなってね。どうして泊らないのか聞いてみたら、脱衣所がないからだという。そうかあ・・・と合点がいったよ、ハハハ」
「そうですね。年ごろの女のお孫さんですから、やはり抵抗がありますよね。ご夫婦だけでしたら、特に問題はありませんが・・・。おじいさま、おばあさまにとっては、せっかく遊びに来てもらっても、泊ってくれないとがっかりですね」
早速、脱衣所のスペースをつくるため、お風呂場などを見せていただきました。建ててから40年経っていますので、建物自体あちこち傷んでいるのが気になりました。
「脱衣所は、このあたりにつくることはできますが、それよりも、お風呂場が水れしていますので、柱や床が傷んでいますね。このままでは、数年のあいだに次々と問題が出てきそうです」
「無理もないな。家そのものがを危ないんだったら、脱衣所だけ新しくしてもしょうがない。孫のために建て替えようーせっかく建て替えるんだったら、地震に強い家にしてほしいな。それに、このあたりは家が建て込んでいるから、日当たりにも注意してくれ」
はじめは脱衣所をつくるリフォームの予定でしたが、家の傷み具合や耐震の面からいっても、建て替えをされることになりました。新しい家にはお孫さんも遊びにきて、泊っていくようになり、お二人もとてもよろこんでいらっしゃいます。建て替えの地鎮祭のときにも、お孫さんがいらしていましたし、お孫さんにとっても、うれしいことだったと思います。
ご年配の方は、我慢が美徳とされていることが多いので、多少の不便は仕方ないと思われていることが多いようです。「お孫さんのために」といった理由があってはじめて、地震の不安なども口にされました。
工事が終わり新居を前に、「これで一安心。メンテナンスもよろしく」と満足そうにおっしゃっていただけました。私も、とてもうれしく感じました。
- 2016年12月5日
- カテゴリー : 住まいの本