3年間限定で助成額アップも! 足立区の耐震診断&耐震改修工事
足立区には、地震で倒壊する恐れがある建物に対し、耐震診断費用や耐震工事費用などを助成する「木造住宅耐震助成制度」があります。
平成12年(2000年)5月以前に建築された木造住宅の耐震診断や耐震改修工事は、この制度を活用すると、助成金を受け取れる可能性があります。
この記事では、足立区の木造住宅耐震助成制度について、概要や手続きの方法、利用時の注意点などを詳しく解説します。
特に旧耐震基準で建てられた木造住宅なら、助成額がアップされる可能性があるので、ぜひチェックしてみてください。
目次
1.大地震に備えてわが家と命を守る「木造住宅耐震助成制度」とは?
足立区の「木造住宅耐震助成制度」とは、以下に対して助成金を交付する制度です。
- 耐震診断
- 耐震改修工事
- 解体除却工事
それぞれどのような内容なのかを説明します。
(1)まずは診断! 耐震診断費用助成
耐震診断に対しては、以下の条件を満たす足立区内の住宅に対して耐震診断を受けるときに、一棟あたり最大30万円助成されます。
助成額 | 診断費用の全額を対象とし、最大30万円/棟まで |
対象条件 | ① 平成12年(2000年)5月以前に建築された住宅 ② 2階建て以下の木造住宅 ③ 区登録耐震診断士による診断 |
耐震診断の判定 | 上部構造評点により、以下のように判定する 1.5以上:倒壊しない 1.0以上1.5未満:一応倒壊しない 0.7以上1.0未満:倒壊する可能性がある(耐震改修工事費の助成対象) 0.7未満:倒壊する可能性が高い(耐震改修工事費の助成対象) |
耐震診断に対する助成は、昭和56年(1981年)5月以前の旧耐震基準で建築された住宅のみを対象とする自治体がほとんどです。
そのようななか、足立区では新耐震基準で建てられた住宅の一部も対象としていることが特徴です。
なお、助成を受けられるのは、区登録耐震診断士に診断を受けた場合に限る点に注意しましょう。
浅野工務店にも登録診断士が在籍していますので、気軽にお問い合わせください。
(2)耐震リフォームをお得に! 耐震改修工事費用助成
耐震診断の結果、評点が1.0未満となり、耐震強度が不足していると判断されて耐震改修工事をおこなうときには、工事費用に対する助成が受けられます。
助成額 | 最大150万円/棟、または対象工事費の9割のいずれか低い額 |
対象工事 | 評点を1.0以上に向上させる補強工事 ※昭和56年(1981年)5月以前の旧耐震基準で建てられた家の場合は、耐震性が低下する部位が生じないケースに限り、1.0未満に向上させる補強工事でも利用できる場合がある |
主な要件 | ① おおむね2年以内に区の耐震診断助成を受けた住宅で、耐震補強が必要と判断されたもの(2年を過ぎると実費負担にて再診断が必要) ② 区登録耐震診断士による工事管理を受けること ③ 耐震シェルター・ベッドの設置支援助成を受けていないこと ④ 建築基準法の違反建物でないこと |
備考 | ・道路幅が建築基準法上の幅に適合していない場合は、建物減築(セットバック)の可能性がある ・接道要件を満たしていないと助成対象にはならない |
区登録耐震診断士による耐震診断を受けてから、おおむね2年以内に補強工事をおこなう必要がある点に注意しましょう。
2年を過ぎると自費での再診断が必要になりますが、旧耐震の住宅の場合は、上限10万円の助成があります。
(3)倒壊の危険性が高い住宅を解体! 解体除却工事費用助成
耐震診断の結果、耐震強度が不足と判断され、耐震補強ではなく解体を選択した場合も助成を受けられます。
助成額 | 最大150万円/棟、または対象工事費の9割のいずれか低い額 |
主な要件 | ① 申請費用・法定手続き費用・カーポート・残置物・物置・地生えしていない樹木は対象外 ② 建設業、もしくは東京都の解体登録をしている業者による解体であること ③ 更地にすること |
2.「特定地域」では旧耐震で建てられた住宅への助成額が拡充!
足立区内の不燃化特区を中心とした特定地域では、旧耐震で建てられた住宅については、令和8年(2026年)3月まで限定で、助成額が拡充されています。
(1)耐震化助成制度の特定地域はどこ?
耐震化助成制度の特定地域は以下が該当します。
千住地域
千住、千住曙町、千住旭町、千住大川町、千住河原町、千住寿町、千住関屋町、千住龍田町、千住中居町、千住仲町、千住橋戸町、千住宮元町、千住元町、千住柳町、千住東、千住桜木、千住緑町、日ノ出町、柳原
中川地域
中川二丁目、中川三丁目
小台宮城地域
小台一丁目、小台二丁目、宮城一丁目
本木梅田周辺地域
足立、梅田、扇一丁目、扇三丁目、興野、関原、西新井栄町、西新井本町、本木北町、本木西町、本木東町、本木南町、本木
(2)特定地域の耐震改修工事助成額
特定地域では、耐震改修工事の助成額が以下のように拡充されます。
特定地域 | 最大200万円/棟、または耐震改修工事費の9割のいずれか低い額 |
(3)特定地域の解体除却工事助成額
特定地域では、解体除却工事の助成額が以下のように拡充されます。
特定地域 | 最大200万円/棟、または解体除却工事費の9割のいずれか低い額 |
3.手続きの流れと注意するポイント
足立区で耐震診断・改修工事などに対する助成を受けるときの、流れと注意点を解説します。
(1)手続きの流れ
まずは、手続きの流れを確認しましょう。
① 耐震診断事前申請
区登録診断士を選び、必要書類を提出します。
区登録診断士以外の耐震診断は、助成の対象とならない点に注意しましょう。
なお申請手続きは、診断士に代理手続きしてもらうとスムーズです。
② 耐震診断の実施
区から内定通知をもらってから、耐震診断を受けます。
内定通知前に診断の契約をしたり実際に診断を受けたりした場合、助成の対象外となる場合があるため注意が必要です。
③ 完了申請
耐震診断が完了したら、区の窓口へ完了申請をおこないます。
④ 耐震診断の助成金振込
区から決定通知発行後、約1か月後に耐震診断に対する助成金が振り込まれます。
⑤ 耐震改修工事または解体除却工事事前申請
耐震改修または解体をおこなう場合、区に助成の申請書類を提出します。
耐震改修工事は、耐震診断を受けてからおおむね2年以内におこなわないと、助成の対象外となります。
耐震診断の結果が出たら、早めに対応を検討しましょう。
⑥ 工事の契約・着工
区から内定通知をもらってから、耐震改修または解体工事の契約を締結し、着手します。
内定通知前に請負契約を締結した場合、助成の対象外となる場合があるため注意が必要です。
⑦ 完了申請
工事完了後、区の窓口へ完了を申請します。
⑧ 耐震改修工事または解体除却工事の助成金振込
区から決定通知発行後、約1か月後に助成金の振り込みがおこなわれます。
「①事前申請」から「⑥工事の契約・着工」までにかかる期間は、書類などの不備がなければ1~2か月程度です。
工事期間は工事の規模・内容によって異なるため、耐震診断を受けた工務店などに確認しましょう。
(2)注意するポイント
足立区で耐震診断・改修工事などの助成を受ける際に、注意するポイントは次のとおりです。
- 混構造建物(木造住宅の一部がRC造・鉄骨造となっているなど)の場合は事前相談が必要
- 内定通知発行前の契約は事前着手とみなし、対象外となる場合がある
- 営利目的の場合、助成を受けることはできない
- 店舗・作業所等の併用住宅は住居の床面積が1/2以上必要
- 消費税は対象外
- 助成金拡充は、令和5年(2023年)4月1日から令和8年(2026年)3月までの3年間限定
特に注意すべきなのは、内定通知発行前の契約は事前着手とみなされる可能性があることです。
助成金制度を活用する場合は、手順を正確に把握している区登録診断士に相談のうえ進めましょう。
また、旧耐震基準で建てられた住宅に対する助成金拡充は、令和8年(2026年)3月までに限定されています(2024年7月現在)。
対象エリア・住宅で助成金の活用を検討している場合は、早めに手続きを進めることをおすすめします。
4.よくある質問
ここからは、足立区の耐震診断・耐震改修などの助成制度利用時に、よくある質問とその回答を紹介します。
(1)耐震診断や耐震改修工事についての問い合わせ先は?
耐震診断や耐震改修工事についてわからないことがあるときには、区の窓口に相談できます。
無料耐震相談会もおこなわれているので、活用するとよいでしょう。
(2)助成制度を活用する場合、見積もりはどこに依頼すればいい?
助成制度を活用する場合の見積もりは、区登録耐震診断士が在籍している工務店などに依頼しましょう。
助成の対象となるのは、区登録診断士が耐震診断をおこなった物件に限られるためです。
また耐震改修工事についても、区登録診断士の工事管理のもと進めなければなりません。
そのためはじめから区登録診断士がいる工務店などに相談するのが効率的です。
(3)区登録耐震診断士はどうやって選んだらいい?
区登録耐震診断士を選ぶときには、足立区が用意している一覧から問い合わせをおこないます。
名簿にある「区助成実績欄」を確認し、実績がある診断士であれば経験があることから手続きがよりスムーズに進む可能性が高くなります。
(4)耐震診断や耐震改修工事の費用はどれくらいかかるの?
耐震診断の費用は、設計図面の有無や建物の大きさによって異なります。
また耐震改修工事費についても、建物の劣化具合や耐震性の程度などによって決まるため、実際に耐震診断をしてみないとわかりません。
耐震診断の見積もり自体は無料であるため、まずは見積もりを取ってみることをおすすめします。
(5)木造戸建て住宅以外の助成もある?
非木造住宅や共同住宅に対する助成もあります。まずは区に問い合わせてみてください。
(6)法人所有の物件でも助成対象になる?
不動産取引業(宅地建物取引業)をおこなっている場合は、助成対象外となります。
それ以外の法人所有であれば助成対象となるので、まずは区に問い合わせてみるとよいでしょう。
(7)売買や相続で建物所有者が変わる場合はどうすればいい?
売買で建物の所有者が変わる場合は、まずは所有権移転登記が必要です。
相続で所有者が変わる場合については、区へ問い合わせてみてください。
※相続については、令和6年(2024年)4月から相続登記が義務化されています。
耐震補強を勧誘する訪問販売に注意!
近年、耐震補強を勧誘する訪問販売によるトラブルが多く報告されています。
訪問販売では「このままでは次の地震で家が倒壊する」などと不安をあおり、契約を急がせるケースが主流で、特に高齢者がターゲットとされがちです。
足立区では、耐震診断・補強工事などについては助成金を受けられます。
しかしそれには、区登録の診断士による診断や工事管理が必須です。
訪問販売を受けたときには、区登録診断士の資格があるのかまず確認し、該当しないのであればきっぱり断ることが大切です。
なお、訪問販売で業者と契約した場合には、8日以内であればクーリングオフが可能です。
万一契約してしまったときには、消費者センターなどに急ぎ相談することをおすすめします。
5.まとめ
足立区の「木造住宅の助成制度」を活用すると、平成12年(2000年)5月以前に建築された木造住宅であれば助成金を受け取れる可能性があります。
特に特定地域にある旧耐震基準で建てられた住宅なら、令和7年度(2025年度)まで助成額がアップするので、早めに手続きを進めましょう。
浅野工務店にも区登録診断士が在籍しており、耐震診断・耐震改修工事に対応しています。
助成制度を活用しての実績も豊富ですので、申請手続きからお手伝いが可能です。
まずは気軽にお問い合わせしてみてくださいね。
- 【最終更新日】2024年08月05日 13:29:58
- 【投稿日】2024年08月05日 13:29:57